『シーグラスの記憶 ― 再生のジュエリー』マジメ版

 

はじまりは、遥かなる時の彼方。
 
地球がまだ、赤く燃える火の玉だったころ。
マグマは冷え、大地は形を変え、やがて大気が生まれ、雲が流れ、雨が降り注いだ。
そして最初の海ができた――。

 

『ひと粒の砂』

 

その海辺に、ひと粒の砂がありました。
風に吹かれ、波に洗われ、太陽に照らされながら、
長い時を経て、やがて人の手で「ガラス」へと形を変えました。
 
そのガラスは、びんになり、
誰かの暮らしの中で、飲みものをたたえて使われました。

 

 

海の記憶

 

 

ある日、役目を終えたそのびんは、
無造作に捨てられ、波にさらわれ、深い海へと還っていきました。
 
けれど、ここからが、びんの“本当の旅”の始まりだったのです。
 
海の底で、鋭く割れたガラス片は、
長い年月をかけて、波に磨かれ、角を失い、
曇りガラスのようにやさしい光を宿しはじめます。

 

 

静かな海辺

 

冷たく寂しかったびんの記憶が、 海のあたたかさで、

少しずつ癒やされていくように。

ある日、ショウはそのかけらを、 静かな海辺で見つけました。

手のひらに乗せた瞬間、胸がざわめきました。

 

鼓動

 

「このこは、ずっと旅をしてきたんだ」
その静かな存在に、鼓動のような美しさを感じたのです。
この海の贈りものに、新たな命を与えることにしました。
自然と時と、人の想いが織りなす、ジュエリーとして。
 
「再生のしるし」として、もう一度、大切にされる
存在、世界へ羽ばたいていけるように。

 

 

 

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